コロナ禍においての政治活動(2)

一昨日のブログでは政治活動や後援会活動を個別にピックアップしました。
※イメージしているのは郊外を選挙区とする衆議院議員地元事務所(5人程)です。

駅頭(朝)、後援会支部作り、各種会合、ミニ集会、街頭演説(辻立ち)、ポスティング、戸別訪問、個別訪問(保有名簿の挨拶回り)、駅頭(夜)、ポスター展開、党員拡大、政経パーティによる政治資金集め。

– その上で、何を捨てて、何に比重を置きますか?

駅頭(朝)
これはやらないよりやった方が良いという程度でしょうが、コロナ禍において決して比重を置く活動ではないと思います。そもそもターミナル駅においては乗降者数に対する有権者率をきちんと推測(駅に来るバスの停留所を調べたり)してやらないと、そこそこ人は流れている事による自己満足に陥り易いのも確かです。一番危惧するべきなのは駅頭をやっているだけで「我々は政治活動をやってるんだ!」みたいな雰囲気がチームに蔓延することにより、日中の活動量が無意識のうちに低下してしまう事がリスクです。さらに今はコロナ禍。通常時ならまだしも、大企業の出社率も50%以下に抑制していますし、その意味では「駅を使う人」は減っているはずですから。やってもいいけど余力があればといった感じでしょうか。決して駅頭だけで満足してはならないと個人的に思います。

後援会支部作り
これは今は止めた方がいいです。後援会支部作りと一口にいっても、組成途中のプロセスで3密になる機会が沢山あります。仮に3密にならない方法があったとしても、今はコロナ禍です。あまり事務所にとってプラスになる事を積極的に行動しない方が良いと思うのです。逆に票を失い兼ねません。

各種会合
案内を受けた会合は出席するべきだと思いますが、こちらが会合を主催する事は控えた方がいいでしょう。万が一、新型コロナウィルス感染者が出てしまった場合は選挙的なダメージリスクが大きく返ってきます。

ミニ集会
これは控えるべきです。ただでさえ高齢者の参加者が多い政治集会。仮に3密を解決するセッティングがあったとしても、今はコロナ禍。事務所にとって利になる事を積極的に発信しない方が良いと思うのです。コロナ禍において大変なのは政治家より有権者です。訴えかけたい事は山積しているとお察ししますが、今は控えた方が得策です。

ポスティング
これはやるやらないという話より、やらないと相手に引き離されてしまいますし、やっても相手もやっているので「差はつかない」といった感じでしょうか。ポスティングは相手陣営もやっているはずなので、活動的にマストです。

個別訪問(保有名簿の挨拶まわり)
行政からの外出自粛要請が出ていない限り、積極的にやるべきですし、間違いなく活動の中心に据えた方が良いと思います。コロナ禍においてはインターホン越しで失礼しても良いですし、肝心なのは「我が家までわざわざ来てくれた」という事です。一口に保有名簿と言っても、(名簿の質にも依りますが)確実に支援してくれる名簿とは限りません。その名簿を固いものにする為にも、地道に歩いて活動するのは非常に効果的です。また、過去に活動レポートを郵送したり、法定はがきを郵送したり、何らかの接点があるはずですので、有権者がこちらを知っている可能性が高いです。

戸別訪問(挨拶まわり)
行政からの外出自粛要請が出ていない限り、積極的にやるべきですし、間違いなく活動の中心に据えた方が良いと思います。人は会いにきてくれたという記憶が一番心に強く残ります。公職選挙法第138条では、投票依頼の戸別訪問は禁止ですが、選挙期間より以前に自分の政治信条等を伝えるために、後援会拡大を目的として回るのは違反にはなりません。公職選挙法第138条で規定しているのはあくまで選挙運動のために戸別訪問をすることを禁止しているというものです。ですから、政治活動で戸別訪問をすることは禁止されていません。参考リンク:自民党二階幹事長の発言(2020年7月16日)

街頭演説(辻立ち)
これも積極的にやるべきでしょう。しかも上述の挨拶まわりとエリアを被らせた方法は非常に効果が高いです。挨拶まわりといっても約半分が不在です。不在時には名刺をクリッピングしたチラシを郵便受けに投函する訳ですが、不在だった有権者が街頭演説を見た時に「あれ? たしかこないだうちに来た人だ」となる可能性が高いです。一つの活動をマルチに渡ってオーバーラップさせる事で、より経験の深い記憶に留めて貰えるという効果があります。もちろん挨拶まわりでお会いできた方は「あの人、頑張ってるね!」となる可能性が高いです。肝心なのは、一つ一つの活動を足し算ではなく掛け算にして、いわゆる相乗効果を得ていくという考えです。

駅頭(夜)
コロナの影響で夜の会合が減っているはずですから、時間の許す限りにおいてはやるべきだと思います。チラシ配布方法もスタンドを用意するなど工夫を施します。

ポスター展開
数少ないプロパーのスタッフを注力させるのは止めた方がいいです。衆議院解散風も吹き始めています。もしかすると今秋にでも解散総選挙が行われるかもしれません。そうすると選挙までの活動期間は残り約2ヶ月間しかありません。目立つ場所を選りすぐってピンポイントに設置できるのであれば実施するべきですが、それでも公示日になれば違法ポスターになってしまいます。また、プロパーのスタッフではなく、普段から活動を支えてくれている地方議員の方々にお願いできるならそれに越した事はないでしょう。

党員拡大
今はコロナ禍です。これは選挙的にも止めた方が良いと思うのですが、政党によっては党員獲得数が比例名簿に影響します。ですので、やらざるを得ないという状況であるのも確かです。やらざるを得ない以上はそのやり方に工夫が求められるところです。一番のリスクは「比例名簿? 何それ?(ひとしきり説明を聞いた上で)それは分かったよ。応援している●●さんが落選しては困るからね、でも政治って一体我々に何をしてくれるのだろう?」「結局、こんな世の中が大変な時に●●さんはいつも自分の事ばかりだね」「今すぐ助けて欲しいのはこちらの方だよ」と逆に信頼を失い兼ねません。ここまで自信を持って言えるのは私自身が某政党党員を延べ1500人以上獲得してきた経験があるからです。

政経パーティによる政治資金集め
これは控えるべきです。党内交付金で足りないのであれば、支部長個人で政党支部に寄付する事でなんとか頑張るしかないです。当選後、新型コロナウィルスの状況をみて検討すれば良いのか思います。

以上、コロナ禍による活動限定に加え、衆議院解散風が吹いている中において、「限りある時間と人的リソースをどの活動に比重を置くか」をテーマにして個人的な考えをまとめてみました。

– 新しく何かを取り入れますか? 例えば今まで以上にSNSに力を入れるとか?
(続きは次回のブログにて)